先日、王家の紋章もしもシリーズで
イズミルとカイルを引き合わせたストーリーを展開していました。
その後のストーリーを考え付きましたので
お楽しみいただければ幸甚です。
しかし、つくづく、ルカって奴は
超万能だよね!!!!!
王家の紋章の中で
数少ない有能武官だよ(設定上は召使だけど)
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カイルを追って湖に潜ったルカは既視感を感じた。
いや、それは既視感なのではなく、
自分自身が感じた記憶のピースである。
川へ身を投じたナイルの姫を助けようと、
水の中へ潜ったとき、同じような渦が
ルカを襲ったのだ。
湖から上がったルカの目前には
潜る前と同じ風景が目に映っていた。
しかし、そこには何かしらの違和感が残り
ルカは言い知れぬ不安を抱くことになる。
──不思議な男はどこにいったのか?
ルカは目的を達成するため、
恐れと戸惑いを封じ込めて
カイルのものであろう、足跡を追う。
ルカの姿を見たカイルは驚くとともに、
どこか楽しそうな顔をした。
──魔力を持つ自分はともかく、
そうでないものが「世界」
を超えてやってきたものは
そういない。
カイルの隣に立っていた黒髪の少女が、
同じように頷いた。
象牙の肌に黒い瞳、その姿はルカが初めて見る人種だった。
恐らく、彼女も「世界」とやらを超えてきたのだろう。
──今なら間に合う。
私がもとの世界へ帰してやろう
カイルはそう言って印を結び、
湖の中へとルカを送り込んだ。
そこは来た時と同じ、
大きな渦がうねりをまいて
ルカに襲い掛かってきた。
そのとき、やはりナイルの姫は神の娘なのだと
この世ならざるものなのだと、
ルカは思った。
人の子である自分は一人では「世界」を越えることができない。
だから、ナイルの姫の「世界」へは行くことができなかったのだ。
その答えに行きついたとき、
ナイルの姫との隔たりの大きさに、
自分の主君がとても哀れに思えた。
──王子は、けして姫の世界へはいけないのか
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どうも、王家の紋章二次小説で
いらっしゃる方が多いので、
次回はイズミル王子の救済小説でも披露いたします。
自分で書いといてなんだけど、
これじゃあ、王子が可哀想すぎるんで。

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