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既にご存知の方も多いと思いますが、
セーラームーン が再アニメ化します。


リメイクなどではなく、

「新シリーズ」



としての始動とのことで、
どのようなアニメになるのか
とても楽しみです。


尚、アニメ放映時は
視聴率が高いものの、
グッズの売り上げが低いことから
半年で打ち切り予定だったとのことで、
かなり驚いています。


つまり、視聴率が低くても
売り上げが伸びていれば
打ち切りにはならないということですね!



話は少しそれますが、メタルファイトベイブレード]
視聴率が低い気がしてたので
(理由:・ファンサイトがすっごく少なかった
    ・プリキュアの裏)

なぜ、3年続いたのか非常に疑問だったんですが、
ベイブレードの売れ行きはすっごく良かったんですよね。


だから続いたんだなーって
再認識しました。


でも、4Dの後半は15分短縮されたけど!


本題のセーラームーンに戻りますが、
当時と今のアニメ業界は大分違っているので


・声優にタレント起用

・作画を海外に委託

・販促用のストーリー


が懸念材料です。

シリーズ作品の評価って、
後続の評価によって
駄作にも名作にでも化けるんですよ。

ガンダムSEEDがよい例。


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昨日の記載した格闘家シンデレラのオチをご紹介します。
長いのでかなりはしょりますが、
基本的な流れは本家と同じです。


ではスタート!







王子は優れた軍人であり、格闘家としても希有な才能の持ち主だと有名である。
外見もハンサムで、女性格闘家たちにとっては憧れの的であった。

むろん、シンデレラの道場でも話題になる。

継母「権力などに興味はないが……」

継母「あの王子を仕留めれば、我が道場の名も上がるッッッ!」

継母「キサマら、王子に勝ってみせいッッッ!」

長女「えぇ、王子と戦える機会なんて一生に一度あるかないか……」

長女「楽しみですわ」

次女「へへっ、腕がなるねぇ」

次女「アタシの蹴りを王子にたっぷりブチ込んでやるよ」

シンデレラ「…………」

 

 


54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 21:45:57.42ID:FDH9ZeWQ0
継母「なんだシンデレラ、その目は」

シンデレラ「あ、あの……私も……」

継母「ならんッッッ!」

継母「道場でワシらを殴れぬキサマが、どうして王子を倒せる!?」

継母「手も足も出さぬまま、王子に殺されるだけだ……!」

継母「どうしても出たいというのなら、ワシらに一撃ずつ浴びせてみせいッッッ!」

長女「そうよ、シンデレラ」

次女「王子の前に、まずアタシらをぶっ飛ばしてみな」

シンデレラ「…………!」

シンデレラ「で、できませんっ……!」

 

 


55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 21:50:33.21ID:FDH9ZeWQ0
シンデレラは走り去ってしまった。

継母「チィ……ッッ!」ギリッ

長女「やっぱり、ダメなようね」

次女「やれやれ、アイツがその気になれば、アタシらにだって勝てるのに……」

次女「あり余る格闘技の才能がありながら、人を殴れない、か」

次女「神様ってのは残酷なことをするもんだよ……」

長女「お母様、シンデレラはやはり武道会には……?」

継母「愚問ッッッ! 人も殴れぬようなヤツを試合に出すワケにはいかんッッッ!」

 

 


56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 21:53:21.72ID:FDH9ZeWQ0
結局、シンデレラは継母たちを殴ることができぬまま、一週間が経った。

継母「今日はいよいよ、城で武道会だ」

継母「長女、次女はワシとともに来い。ワシの前で、みごと王子を倒してみせい」

継母「シンデレラ、キサマは留守番だ。よいな」

継母「なぜ留守番になったか、原因はキサマがイチバンよく分かってるはずだ」

シンデレラ「はい……」

長女「じゃあ、行ってくるわね。シンデレラ……」

次女「まぁ、また王子とやれるチャンスはあるって」

 

 


57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 21:56:24.26ID:FDH9ZeWQ0
シンデレラ「ていっ! えいっ! ──とりゃあっ!」

ビュッ! ビュンッ! ビュバッ!

留守番を兼ねて、道場で鍛錬を行うシンデレラ。しかし、今一つ集中できずにいた。

シンデレラ(なんだろう、このイヤな感じ……)

シンデレラ(やはり王子と戦うチャンスを逃したから……?)

シンデレラ(いいえ、ちがう……)

シンデレラ(これは──)

 

 


 


61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 21:59:21.78ID:FDH9ZeWQ0
城──

大勢の女性格闘家が、王子に次々と挑んでは倒されていた。

女格闘家A「ギャアアアアッ!」

王子「やれやれ、こんなものかい? ──次っ!」

すでに100人以上が挑戦したが、王子は傷一つ、どころか息切れ一つしていない。

次女「強えぇっ……!」

長女「王子の実力を甘く見ていたかもしれないわね、私たち」

 

 

 

 

王子「さて、次はだれだい?」

長女「私です」

王子「オ~、君はたしか“レイニーフィスト”だったね。なんでも連打が得意だとか」

長女「城にまで名前が知れ渡っているとは、光栄ですわ」

 

 


67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 22:10:12.71ID:FDH9ZeWQ0
シンデレラ(この不安感は──)

シンデレラ(お姉様たちが危ないっ!)

シンデレラ(私は王子を一度だけ遠くから見たことがあるけど)

シンデレラ(優しそうなお顔の中に、凶悪な闘争心を秘めていた……)

シンデレラ(もし、お姉様たちがアレを引き出してしまったら──)

 

 



69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 22:15:07.44ID:FDH9ZeWQ0
シンデレラ(でも、行ってどうするというの!?)

シンデレラ(人を殴れない私が、助勢できるわけがない)

シンデレラ(仮にできたとしても、私なんかに助けられてあの二人が喜ぶと思う!?)

シンデレラ(だけど……行かなきゃいけない!)

シンデレラ(そんな気がする!)

すると──

 

 


72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 22:21:33.54ID:FDH9ZeWQ0
魔女「おやおや、お困りのようだねぇ」ザッ

シンデレラ「あなたは……!?」

魔女「私は魔女、なにかお悩みのようだからやって来たのさ」

魔女「私は悩んでる人間を嗅ぎつけるのがウマイんでね、ひっひっひ」

シンデレラ(魔女……!?)

魔女「あんた、城の武道会に行きたいんだろ?」

魔女「かといって、城にいる仲間に正体がバレるわけにもいかない」

魔女「さぁ、困った。どうしよう~ってとこかねぇ?」

シンデレラ「な、なぜそれを……!」

魔女「ひっひっひ、協力してやるよ」

 

 


75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 22:26:30.05ID:FDH9ZeWQ0
武道会では、長女が得意の猛連打で王子を圧倒していた。

ガッ! ドガッ! ガスッ! ベシッ! ドゴッ!

次女「いいぞ、姉様ぁっ!」

長女(イケる! このラッシュから逃れられた対戦相手はいない!)

だが──

王子「ン~……なかなかのラッシュだ。口の中を切ってしまった」ペッ

長女「!?」

長女(あれだけの拳を受けて、ほとんどダメージがない!?)

王子「そろそろ反撃しよっかな」

パシッ!

 

 


76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 22:29:28.46ID:FDH9ZeWQ0
長女(しまった、右手を取られた……!)

ボグッ!

長女「あぐぅぅぅっ……!」

次女「姉様っ!」

王子「これで君の戦力は激減したね」

王子「君の実力に免じて、ギブアップするチャンスをあげちゃおう」

グシャアッ!

王子「ぶっ……!」

長女はあえて折れた右腕でのパンチを、王子の顔面に叩き込んだ。

長女「腕一本……奪ったくらいで……いい気にならないで下さる?」ハァハァ

王子「いい目だァ……」ニコッ

 

 


77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 22:36:22.19ID:FDH9ZeWQ0
魔女「ほれっ」パァァ…

パサッ

シンデレラ「これは虎の覆面!?」

魔女「ひっひっひ、それを被ればあんたの正体はバレないよ」

魔女「さらに……」パァァ……

シンデレラ「私の服が、キレイなドレスになったわ!」

魔女「あとは、ほれっ」パァァ…

シンデレラ「超強化ガラスで作った靴!?」

魔女「さて、あとは──」

 

 


 


82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 22:40:21.70ID:FDH9ZeWQ0
ボワァァァン…

シンデレラ「カボチャの馬車!?」

魔女「ひっひっひ、すごいだろう」

魔女「ただし魔法の効力は、今晩0時までだよ」

シンデレラ「ありがとう……でも、馬車はいらないわ」

魔女「えっ?」

シンデレラ「だって私、走った方が速いものっ!」

ドヒュンッ!

魔女「ワ~オ……クレイジー」

 

 



84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 22:44:22.17ID:FDH9ZeWQ0
城では、長女が逆に王子のラッシュの餌食になっていた。

次女「ね、姉様……ッッ!」

ズギャッ! ベギャッ! ボゴォッ! ズドンッ! グシャァッ!

王子「ハハハハハハハハハハッ!」

長女「が……ふっ……」グラッ

王子「おっと、まだ倒れないでくれよ」ガシッ

次女「──ふざけんなぁっ!」バッ

客席から飛び出した次女が、王子の後頭部に蹴りを入れた。

ガゴンッ!


85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 22:51:33.44ID:FDH9ZeWQ0
次女「もう勝負はついてるだろうがっ! このクソ王子っ!」

王子「ン~……今のはいい蹴りだったよ。さては君が“キラーフット”か」

次女「そうだよ、選手交代だっ!」

王子「実力は認めるが、神聖な試合に乱入するのは感心しないな」

次女「なにが神聖な試合だっ! この腐れサド野郎がッッッ!」

キャアアアアア…… イヤアアアアア……

王子「おやおや」チラッ

王子「ボクの強さに恐れをなして、他の挑戦者は逃げてしまったようだ」

王子「いいだろう。恥知らずな乱入者である君を処刑し、この武道会はお開きとしよう」

次女「やってみな……!」

 

 


86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 22:54:46.62ID:FDH9ZeWQ0
馬よりも速く、城めがけて走るシンデレラ。

すると、城から逃げ出してきた大量の女格闘家たちに出くわした。

シンデレラ(城で何かあったのかしら……?)

「冗談じゃないわ」 「強すぎるわよ」 「あの姉妹……今頃殺されてるよね、絶対」

「100人以上は再起不能にされたわ」 「やってられないよ」 「あの王子ヤバすぎ」

シンデレラ(やはり、王子はとんでもない男だったんだわ……)

シンデレラ(急がないと……お姉様たちが殺される……!)

 

 


87:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 22:57:35.90ID:FDH9ZeWQ0
仰向けにダウンする次女。

次女「げほっ、ごほっ……!」

次女(ちくしょう、相手にもならなかった……)

王子「君もいい腕をしていたよ」

王子「しかし、やはりボクを満足させるには至らなかった」

次女「アタシは……アンタより強い女を知ってるよ」

王子「へぇ、そんな人がどこにいるんだい?」

継母(ここだッッッ!)ギロッ

王子(あの客席でボクを睨んでるヤツは……女じゃないよな、どう見ても)

次女「ここにはいないよ……」

王子「フッ、つまらんハッタリはよしたまえ」

 

 


88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 22:59:38.82ID:FDH9ZeWQ0
次女「ア、アイツは……だれより、も才能が、あって……」

次女「どりょ、くしてる……」

次女「アイツの名、は……シ、シン──」ガクッ

王子「ふん、気絶したか。最後までハッタリをかまそうとした精神力はみごとだ」

王子「せめてもの手向けとして、君たち姉妹はボクの手であの世に送ってあげよう」

王子「格闘家にとって、これほど名誉ある死もあるまい!」

「待ちなさいっ!」

王子「ぬっ!?」

 

 


92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 23:08:33.70ID:FDH9ZeWQ0
?「私が相手よ、王子っ!」

王子(美しいドレスを着て、ガラスの靴を履いて、虎の覆面を被った変態!?)

王子「名乗ってもらおうか、侵入者君」

?「私は……タイガーマスク!

王子「タイガーマスク……?」

タイガーマスク「王子、勝負よっ!」

王子「ちょうど退屈してたところだ。いいだろう」ニコッ

継母(あれは……何者だ!?)

継母(体格と声と気配はシンデレラそっくりだが──顔がちがう)

継母(シンデレラの顔は虎ではなかったハズッッッ!)

 

 



96:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 23:12:56.16ID:FDH9ZeWQ0
タイガーマスクは倒れている長女と次女を、武道場の外に運んだ。

タイガーマスク(こんなになるまで痛めつけて……王子……絶対許さない!)

タイガーマスク(お姉様たち、仇は取るわ)

シンデレラ「私が……王子を倒すッッッ!」

振り返り、王子を睨みつけるタイガーマスク。

王子(ん、今一瞬覆面の下の素顔が見えたかと思ったが……気のせいか)

継母(一瞬虎がシンデレラに見えたが……やはり虎だったッッッ!)

 

100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 23:14:36.10ID:FDH9ZeWQ0
タイガーマスク「さぁ、始めましょう」

王子「ふっ……いつでもいいよ。格上は格下に先手を譲るものだ」

バッ!

王子(消えた!?)

ガゴォッ!

タイガーマスクの右ストレートが、王子の顔面を撃ち抜いた。

王子「お、おごぉ……!?」ガクン

継母(長女の連打や次女の足技でもビクともしなかった王子が、膝をついた!)

継母(あの虎人間……何者ッッッ!?)

タイガーマスク「立ちなさい」

タイガーマスク「私、あなたのような外道なら、全力で殴れるッッッ!」


 

 

 


113:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 23:49:21.64ID:FDH9ZeWQ0
時計の針が、まもなく0時を指そうとしていた。

タイガーマスク(マズイ……)

タイガーマスク(ここで魔法が解けてしまったら、私の正体がバレてしまう!)

タイガーマスク(お姉様二人に、私に助けられたという恥辱を味わわせてしまう!)

王子「さぁ、続きを始めよう。君から来るかい? それともボクから行こうか……?」

タイガーマスク「…………」

タイガーマスク「残念だけど、時間よ」

タイガーマスク「勝負はお預けにさせてもらうわ」

王子「なにっ!?」

タイガーマスクは王子に背を向けると、一目散に駆け出した。

 

 

 


115:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 23:52:07.51ID:FDH9ZeWQ0
王子「ここまでボクをワクワクさせておきながら、逃げる……?」ビキビキッ

王子「君ほどの遊び相手……みすみす逃がすかよッッッ!」ダッ

タイガーマスクは履いていた靴を、高速で王子に投げつけた。

ガゴッ!

王子「うがっ!」

その隙に、タイガーマスクは城からの脱出に成功した。

王子「…………」

王子「……ふっ」

王子「フハハハハハハハハハハッ!」

 

 


116:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 23:54:32.65ID:FDH9ZeWQ0
王子「ハハハハハハハハハハッ!」

王子「ハーッハッハッハッハッハッハッハッ!」

 

ハーッハッハッハッハッハ……

 

次女「狂ったように笑ってるよ、あの王子……」

長女「今のうちに私たちも逃げましょう」

次女「そうだね!」

継母(それにしても、あの虎人間……何者だったのだ!?)

 

 


119:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 23:59:33.02ID:FDH9ZeWQ0
それから──

先に道場に戻っていたシンデレラは、後から戻って来た長女と次女の手当てをした。

長女「当分私たちは稽古は無理ね……全治二週間ってとこかしら」

次女「いてて……」

シンデレラ「大丈夫?」

長女「ありがとう、シンデレラ。これくらいどうってことないわ」

長女「でも、あの虎覆面の女性が来なければ、殺されていたかもしれないわね」

次女「ああ、アイツには感謝しないとね」

次女「でも、いったい誰だったんだろう……アレ」

シンデレラ「…………」

 

 


122:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/30(月) 00:05:42.67ID:3KRPI85x0
シンデレラ(王子との戦いはキツかった……)

シンデレラ(でも、不謹慎ながら楽しさも感じていた……)

シンデレラ(お姉様たちのためにも、決着をつけたかったけれど……)

シンデレラ(あの限られた時間で、しかも乱入した身で、それは贅沢というものよね)

シンデレラ(さて、明日からはいつも通りの生活に戻らなくっちゃね)

 

 


123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/30(月) 00:08:58.43ID:3KRPI85x0
翌日──

王子が兵士を率いて、町にやって来た。

王子「これからこの町にいる全ての女に、このガラスの靴を履いてもらう!」

王子「もしこの靴にピッタリの足の女がいたら──」

王子「ボクと戦ってもらうッッッ!」

王子「もし隠し立てなどしたら、その家は全て焼き払うッッッ!」

町の女性はみんな恐る恐るガラスの靴を履いた。

万が一にも自分の足がピッタリであったら、王子と戦うはめになるからだ。

 

 


125:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/30(月) 00:13:10.81ID:3KRPI85x0
しかし、ガラスの靴と合致する足の持ち主は、いつまでたっても現れなかった。

王子(この町の女性ではないのか……?)

王子(くそう、早く見つけ出して戦いたい……!)

兵士「王子、残るはあの道場だけです!」

王子(あそこの女二人とはすでに戦っている……)

王子(“レイニーフィスト”と“キラーフット”が虎覆面ではないことは確実)

王子(無駄足だと思うが、一応行ってみるか)

王子「よし、向かうぞ」

兵士「はっ!」

 

 


126:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/30(月) 00:14:59.74ID:3KRPI85x0
王子「たのもうっ!」

継母「王子か……何用だ?」

王子「今ボクらは、このガラスの靴がピッタリ合う足を持つ女性を探している」

王子「君たちはちがうと思うが、念のためテストさせてもらおう」

継母「ふん、よかろう」

継母「長女ッッッ! 次女ッッッ! シンデレラッッッ!」

継母「来いッッッ!」

王子(シンデレラ……? 知らない名前だな)

 

 


131:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/30(月) 00:23:56.20ID:3KRPI85x0
長女「はい、お母様」

次女「なにさ」

シンデレラ「!」

シンデレラ(どうして王子がここに……!?)

兵士「今からお前たちにはこの靴を履いてもらう」

兵士「もしサイズがピッタリ合ったなら、王子と戦ってもらう」

長女(アレは昨日の虎覆面の靴ね……。なるほど、彼女を探しているのね)

次女(アタシらが虎覆面じゃないってのは分かり切ってるのに、めんどくさいなぁ)

シンデレラ(どうしよう……正体がバレちゃう……!)

 

 


133:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/30(月) 00:27:20.92ID:3KRPI85x0
長女が履く。

長女「私には少し小さいようですわ」ギュッ

次女が履く。

次女「アタシにも合わないね」ギュッ

継母が履こうとする。

兵士「いや、あなたは履かなくても分か──」

ドゴォッ!

兵士「ごぶっ!」

継母が履く。

継母「たわけが、小さすぎるわッッッ!」ギュウウ…

王子「さて残りは君だけか」

シンデレラ(うぅっ……!)

 

 


138:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/30(月) 00:34:17.91ID:3KRPI85x0
シンデレラ(どうしよう……これを履けば、私がタイガーマスクだとバレてしまう!)

シンデレラ(そうなったらお姉様たちに、恥をかかせてしまう!)

シンデレラ「私、履きたくありません!」

王子「ほう、なぜだい?」

シンデレラ「そ、それは……」

次女「王子さん、コイツはあの覆面じゃないよ」

次女「だって……コイツは人を殴れないんだからさ」

次女「見逃してやってよ」

 

 


141:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/30(月) 00:38:25.49ID:3KRPI85x0
王子「ダメだ」

次女「!」

王子「ボクが履けといったら、黙って履けばいいんだ」

王子「それとも、また昨日の続きをするかい?」

次女「上等だよ……! このクソ腐れサド外道王子が……!」

長女「私も戦うわ、次女」

次女「姉様!」

長女「嫌がっている妹に靴を履かせようとする不埒な輩……戦うしかないでしょう」

王子「二対一でもかまわないよ、ボクは」

王子「この道場を君たち姉妹の墓場にしてあげるよ!」

 

 


142:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/30(月) 00:42:44.27ID:3KRPI85x0
シンデレラ「待って下さいっ!」

長女&次女「!」

シンデレラ「私……履きます」

王子「ふふふ、それでいいんだ」

シンデレラ(ごめんなさい、お姉様……)スッ

ガラスの靴は、シンデレラの足にぴったり合った。

長女「!」

次女「!」

継母「!」

王子「これは……」

 

 

 


145:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/30(月) 00:46:02.95ID:3KRPI85x0
長女「待って下さい、これはなにかのまちがいです!」

次女「シンデレラ、逃げな! 王子はアタシらでなんとかする!」

王子「どきたまえ」

バキッ! ドガッ!

長女「ぐぁっ!」

次女「うわぁっ!」

 

王子「ごあっ!」ドサッ

シンデレラの右ストレートが炸裂した。

シンデレラ「やりましょうか、王子様」ニッコリ

 

 


 

 


149:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/30(月) 00:50:46.64ID:3KRPI85x0
今の一撃で、長女たちは全てを悟った。

長女(すごいパンチだわ……なるほど、昨日の虎覆面は──)

次女(そうだったのか、昨日はアイツは──)

継母(ようやく分かったッッッ! 昨日の虎は──)

長女(シンデレラだったのね……)

次女(シンデレラだったんだな)

継母(シンデレラの双子の姉か妹だったということかッッッ!)

継母以外の二人は真実にたどり着いた。

 

 


 

 

 

 

 


156:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/30(月) 00:56:25.28ID:3KRPI85x0
次女(ふん、アタシらに遠慮してて、名乗れなかったんだな……ったく)

次女「シンデレラ、思いきりやっちまいな! クソ王子をぶっ飛ばせ!」

長女「えぇ、全力で叩きのめすのよ!」

継母「命令だ……葬れッッッ! 王子を地獄に叩き落とすのだッッッ!」

シンデレラ(みんな……応援、ありがとう!)

シンデレラ「早く立って下さい。みっともないですよ、王子」

王子「いい一撃だったァ~~~~~」ガバッ

王子「昨夜の興奮がよみがえってきたよ」

 

 

162:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/30(月) 01:08:58.12ID:3KRPI85x0
ズガッ! ドガガッ! バギャッ! ベキィッ! ズドンッ!

凄まじい打撃戦。

一流の武術家といえる長女や次女でも、もはや目で追えないレベルだった。

長女(全て分かったわ……シンデレラが人を殴れなかったワケが)

長女(シンデレラは本能的に分かっていたのね……)

長女(私たち姉妹を殴れば、殺してしまうかもしれないと……)

長女(お母様と戦えば、道場を壊してしまう事態になりかねないと……)

長女(だからずっと、王子のような気兼ねなく戦える猛者をずっと待っていたんだわ……)

 


シンデレラ「トドメよッッッ!」

シンデレラは飛び上がり、王子の顔面に猛烈な蹴りを浴びせた。

ドガッシャァァァンッ!

王子「べぶぁっ……!」

衝撃で靴は砕け散り、王子の顔面にガラスの破片が突き刺さった。

王子「ビュ、ビューティフォー……」

王子は一瞬ニヤリと笑うと、背中から勢いよくダウンした。

──ドザァッ!

継母「一本ッッッ!」

継母「勝者、シンデレラッッッッッ!!!」

 

王子「ボクの負けだよ……シンデレラ」

王子「ボクと結婚してくれるね?」

シンデレラ「いいえ」

王子「えっ?」

シンデレラ「お姉様たちを始め、大勢の女性を傷つけたあなたとなんか……」

シンデレラ「私、結婚したくありません」

シンデレラ「私はこの道場に残り、もっと技を磨きますわ」

王子「そ、そんな……じゃあボクはどうすれば……」

 

シンデレラ「王子、あなたには少し精神の修練が必要なようです」

シンデレラ「このまま王子として結婚させたら、また何をしでかすか分からないわ」

王子「あ、ありがとうございますぅ!」

王子「ボクが傷つけた女性たちには最高の名医を送って、責任を持って完治させますっ!」

シンデレラ「いい心がけだわ。でも、ちゃんと一人一人に謝罪もするのよ」

王子「もちろんですっ!」

シンデレラ「どうでしょう、お母様? 王子を私たちの道場に入門させては──」

継母「なるほど、それも一興よ」

 

 


191:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/30(月) 01:56:28.33ID:3KRPI85x0
こうして王子は、道場の門下生──というかパシリになった。

 


196:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/30(月) 02:00:30.61ID:3KRPI85x0
数年後、王子はその強さと地位に相応しい高潔な精神を手に入れていた。

そして──

カラァァン…… コロォォン……

教会に大勢の人が集まっていた。

長女「おめでとう! キレイよ、シンデレラ……!」

次女「王子もずいぶんかっこよくなったよね。お似合いだよ」

継母「くぅぅ……ッッ! 未熟者どもが……ッッッ!」グスッ

長女&次女(泣いてるところ、初めて見た……!)

 

 

 

 

198:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/30(月) 02:01:59.42ID:3KRPI85x0
王子「みんな、ボクらのために集まってくれてありがとう!」

王子「シンデレラ、今日の君はなんだか女神のようだ」

シンデレラ「ありがとう、王子」

シンデレラ「お姉様、お母様、みんな、ありがとう! 私、これからも頑張ります!」

国中がシンデレラと王子の結婚を祝福した。

その後、この二人が幸せに暮らしたことはいうまでもない。

 

<おわり>



シンデレラの話って怖いものしか記憶にないんで、
一昔前の少年漫画風なシンデレラがすごく新鮮に感じられました。
 

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ネトサしてたら、新解釈のシンデレラがあったので
読みやすくしてご紹介します。

シンデレラの話が分かってないと楽しめないので、
知らない方はコチラとか、グーグル先生なりで
予備知識を頭の中に入れてください。


では、スタートっ!!

 


ある王国の片隅にある小さな道場──

この道場には、三人の若き女性武術家がいた。

一人は長女。
ボクシングを得意としており、拳による途切れぬラッシュはまさに豪雨。
人々からは“レイニーフィスト”と恐れられている。

もう一人は次女。
空手やテコンドーをマスターしており、特に蹴り技には定評がある。
彼女もまた“キラーフット”の異名を持つ。

そしてもう一人はというと──

 

 


2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 19:50:41.79ID:Yd1Bv2/7O
俺だ

 

 


3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 19:51:03.50ID:k3UdyWxoi
私だ

 

 


4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 19:53:07.70ID:FDH9ZeWQ0


長女「さぁ、私の顔を殴ってみなさい!」

シンデレラ「うぅっ……」

長女「殴るのよ、シンデレラ!」

シンデレラ「う、うぅっ……!」

長女「さぁ!」

シンデレラ「ダメです……殴れません……!」

 

 


5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 19:57:30.94ID:FDH9ZeWQ0
彼女は長女や次女とは血の繋がりはないが、
師匠である継母によって姉二人と同じように修業を施された。

彼女もまた期待に応えるため、懸命に努力した。

彼女の練習量は姉二人を遥かに上回った。

練習すれば汗をかく。

汗が乾くと、塩となる。

塩には空気中の汚れが付着し、灰色の塩となる。

彼女は全身が灰色の塩まみれになるほどの練習を、毎日のようにこなしていた。

この努力を称えた人々は、彼女を“シンデレラ(灰かぶり)”と呼ぶようになった。

 

だが、彼女には重大な欠点があった──

 

 


6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 19:59:25.07ID:FDH9ZeWQ0
長女「殴るのよ!」

シンデレラ「で、できません……!」ガクッ

長女(今日もダメみたいね……)

次女「シンデレラ」

シンデレラ「はいっ!」ビクッ

次女「アンタもさ、なにも健康体操のつもりで格闘技やってるワケじゃないっしょ?」

次女「毎日毎日あんなに真っ黒になってさ」

 

9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 20:06:23.11ID:FDH9ZeWQ0
シンデレラ「もちろんです! 強くなるために……」

次女「だったらさ、殴らなきゃ」

次女「今は練習だからいいけど、本当に戦わなきゃいけない時が来たらどうすんの?」

次女「練習で姉様も殴れないのに、その時が来れば戦えるとか思ってんの?」

次女「人間、練習でできないことが突然本番でできるほど、器用にできてないんだよ」

次女「もし戦えなきゃ、アンタ死んじまうかもしれないんだよ?」

シンデレラ「わ、私は──」

 

 

道場に、三人の師匠である継母が入ってきた。




 

継母「シンデレラッッッ!」

シンデレラ「は、はいっ!」ビクッ

継母「キサマ、まだ姉どもを殴れぬのかッッッ!」

シンデレラ「すいません……!」

長女「しょうがないわよ、お母様……。怒らないであげて」

継母「道場では母でなく師匠と呼べといってあるだろうが! たわけがッッッ!」

長女「申し訳ありませんっ! 師匠っ!」

 

 


12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 20:15:23.62ID:FDH9ZeWQ0
継母「シンデレラよ……」

継母「格闘技とはしょせん他者を制圧するための技術ッッッ!」

継母「つまり、人を殺すために使うのが正しい使用法だということだ!」

継母「徒手とはいえ、本質は剣術や槍術となんら変わらぬッッッ!」

継母「だが、熟練した剣士ならば──」

継母「その剣で人を生かすこともできる!」

継母「なぜか!?」

継母「彼奴らは、正しい使用法を知っているからだッッッ!」

 

 

17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 20:21:20.24ID:FDH9ZeWQ0
継母「剣は人を殺すモノだと熟知しているからこそ、剣で人を生かせるのだッッッ!」

継母「格闘技も同じこと!」

継母「人を殴ることも知らぬキサマが、どうして格闘技を正しく使える!?」

継母「正しい使用法を知らぬキサマが格闘技を身につけたところで──」

継母「遠からず格闘の魔道に堕ちることは明白!」

継母「そうなれば我が道場の名声も地に堕ちる!」

継母「殴れぬなら──今すぐこの道場から消え失せろッッッ!」

 

 


18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 20:24:28.48ID:FDH9ZeWQ0
シンデレラ「イヤです! 私は強くなりたいのです!」

継母「ならば殴れッッッ!」

継母「このワシを殴ってみせいッッッ!」

シンデレラ「……できま、せん!」

継母「できぬか!」

継母「ならばこの場で、ワシがキサマを殺してやるわッッッ!」

 

 


19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 20:31:23.89ID:FDH9ZeWQ0
ドズゥッ!

継母のボディブローが、シンデレラの腹の奥深くへとめり込んだ。

シンデレラ「──げぇぇっ!」ビチャビチャ

長女&次女「!」

継母「どうだ、胃液は苦かろう。ワシが憎かろう」

継母「ならば、打ってこいッッッ! ワシを殺すつもりで来いッッッ!」

シンデレラ「で、できま……せ、ん……」ゲホゲホッ

ドゴォッ!

継母の蹴りが、シンデレラの顔面に叩き込まれた。

 

 


20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 20:34:49.37ID:FDH9ZeWQ0
継母「シィィィッ!」

ズガァッ!

継母のヒジ打ちが、シンデレラの頭部に突き刺さった。

継母「ぬぅぅぅぅんっ!」

継母がシンデレラを持ち上げ、豪快に床に叩き落とす。

ドゴォンッ!

継母「立ていッッッ! 立って、ワシを殴ってみせいッッッ!」

ドガッ! ドゴッ! ドギャッ!

床に転がるシンデレラを、何度も踏みつける継母。

 

 

22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 20:40:20.40ID:FDH9ZeWQ0
長女「師匠、止めて下さいっ!」ガシッ

次女「死んじゃうってば!」ガシッ

継母「ぬぅ……ッッ!」

継母「ひよっ子どもが、はなさんかァッッッ!」

ブオンッ!

娘たちの制止を強引に振りほどく継母。

継母「ぬぅぅ……もう立てぬかッッッ!」

シンデレラ「うぅ……」ピクピク

 

 


23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 20:43:50.37ID:FDH9ZeWQ0
継母「シンデレラよ」

継母「罰として、今日キサマはメシ抜きだ!」

継母「この道場を全て一人で清掃しろ」

継母「──いいなッッッ!」

シンデレラ「は、はい……」

継母「では本日の鍛錬はここまで!」

継母「長女と次女はメシの支度をせいッッッ!」

長女&次女「はいっ!」


 



24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 20:50:25.12ID:FDH9ZeWQ0
道場の食卓──

山盛りの肉と野菜が、みるみるうちに消えていく。

ガツガツ…… ムシャムシャ……

長女「お母様」

継母「なんだ」

長女「今日は少しやりすぎだったのでは……」

継母「ほう……?」

次女「アタシもそう思う」

次女「なにもあそこまで殴る必要はなかったよ」

次女「人を殴れないからって、だれかに迷惑かけるってワケでもないしさ」

継母「…………」ピクピクッ

バンッ!

 

 


26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 20:53:21.08ID:FDH9ZeWQ0
フワァッ……

継母がテーブルを叩くと、衝撃で卓上の料理が天井近くまで浮き上がった。

長女&次女「…………!」ゾクッ

継母「人をまともに殴れぬ格闘家など、いつ爆発するともしれぬ爆弾のようなもの……」

継母「あの程度の荒療治は当然だッッッ!」

次女「だけどさ、死んじゃったら元も子も……」

継母「死ぬゥ……?」

継母「フハハハハハハハハハハッッッ!」

継母「メシを喰ったら、あとで道場を覗いてみるんだな」

 

 


28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 20:56:32.02ID:FDH9ZeWQ0
夕食後、長女と次女は道場をそっと覗いた。
すると──

シンデレラ「はぁっ! えいやっ! ──はぁっ!」

ブンッ! ビュッ! バッ!

道場はすでに掃除されており、いつものように鍛錬をこなすシンデレラがいた。

長女(あれだけお母様に殴られて──もうあそこまで回復しているというの!?)

長女(なんという回復力! なんという潜在能力……!)

次女(たしかに……もし人を殴ることを知らないままシンデレラが世に出たら──)

次女(ヤバイことになるかもしれない……)

この時、二人は心を鬼にすることを決意した。

 


29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 20:59:39.07ID:FDH9ZeWQ0
翌日──

シンデレラ「おはようございます、お姉様」

長女「…………」

ゴキィッ!

長女のアッパーが、シンデレラの顎を突き上げた。

シンデレラ「が……っ!?」

長女「武術家にとって、不意打ちが卑怯にならないことくらいは承知よね?」

長女の豪雨と称されるラッシュが、シンデレラを襲う。

ドガッ! バキッ! メキッ! ガゴッ! ドゴッ!

長女「反撃するのよ、シンデレラッッッ!」

 

 


30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 21:05:23.37ID:FDH9ZeWQ0
シンデレラ(なんで、いきなり……!)

シンデレラ(でもお姉様の目は本気だ……やらなきゃ、やられる!)

シンデレラが右手を握る──が、打てない。

長女「どうしたの!? 打つのよっ!?」

シンデレラ(う、打てない……!)

ズガッ! ガスッ! ズンッ! ドカッ! バゴッ!

数百の連打を浴びたシンデレラであったが、結局一発も反撃することはできなかった。

シンデレラ「…………」ズルズル…

長女「……失神したみたいね」

ドサッ……

 

 

34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 21:13:22.20ID:FDH9ZeWQ0
次女「起きな」

ザバァッ!

失神しているシンデレラに、水が浴びせられた。

シンデレラ「──はっ!」

シンデレラ「えぇと、私は……?」ズキッ

シンデレラ(たしかお姉様の豪雨を浴びて、気絶してしまったのね)

シンデレラ「お、起こしてくれてありがとう……お姉様」ゲホゲホッ

次女「ありがとう? なにいってんだい、アンタ」

次女「次はアタシだよ」

シンデレラ「!」

ゴッ!

次女のヒザ蹴りが、シンデレラの鼻にめり込んだ。

 


36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 21:19:23.48ID:FDH9ZeWQ0
 

 

シンデレラ「あうぅあ……」ドサッ

次女「気絶したか……」

次女「何度だって繰り返すよ……アンタが殴れるようになるまでな」

 

 


39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 21:23:55.02ID:FDH9ZeWQ0
この日から、継母と姉二人による執拗な攻撃が始まった。

継母「来いッ! ワシを殺すつもりで来いッッッ!」

ドゴォッ!

長女「さぁ、日頃の練習の成果を今こそ解き放つのよ!」

ベキィッ!

次女「少しは反撃してみたらどうだい!?」

バキィッ!

昼夜を問わず、三人はシンデレラに襲いかかった。

しかし、いくら攻撃を与えても、シンデレラの闘争心に火が灯ることはなかった。

 


42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 21:28:21.52ID:FDH9ZeWQ0
長女「シンデレラは……?」

次女「ぐっすり眠ってるよ」

長女「今日もダメだったわね……」

次女「うん……」

長女「ハッキリいってあの子の潜在能力は、私たちの遥か上をゆくわ」

長女「加えてあの練習量……強くないハズがない」

長女「事実、いくら私たちが攻撃しても、数時間も経てば動けるようになっているもの」

次女「うん、恐ろしいまでの才能だよ」

長女「だからこそ──」

長女「今のうちに、殴ることを知っておかないと……とんでもないことになる」

次女「自分の持ってる武器の威力も知らずに、振り回すことになりかねないしな……」

 

 


43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 21:30:39.21ID:FDH9ZeWQ0
シンデレラは気配を殺し、彼女らの会話を聞いていた。

シンデレラ(ごめんなさい、お姉様たち……)

シンデレラ(私にも分かっているの、このままじゃいけないって)

シンデレラ(でも……)

シンデレラ(やっぱりダメなの……!)

シンデレラ(ごめんなさい……!)ダッ

 


そんなある日のこと──

国中に次のようなお触れが出た。

 

 

====================================================================

 来たれ強き女ども!

 一週間後、城にて王子主催による武道会を開催する。

 王子は自分の強い種を受け入れるに相応しい、強い女性を探している。

 王子に勝利できた女性には、王子と結婚する権利を与える。

====================================================================

 

 


続きは明日掲載するとして、

義母と義姉がいい奴なシンデレラは新鮮だと思った次第。
 

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ガンダムの名台詞の一つ、
「親父にもぶたれたことないのに!」は、
某巨大掲示板でアスキーアートにでもなるくらいの人気者、
時代を経て、リアル視聴者でない人間でも
知っている言葉となっております。

そして、時代を経た今、
私はyahoo知恵袋さんで、
ブライト艦長の書き込みを見つけました。

職場で一度もぶたれた事がないと言う子がいますが、
殴られもせずに一人前になった人なんていませんよね?


個人名をぼかして書いてありますが、
投稿者(B)と少年(A)、そしてあの名台詞とくれば
ブライト艦長しかいないでしょう!!


何やってんですか、艦長!!!


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