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昨日の記載した格闘家シンデレラのオチをご紹介します。
長いのでかなりはしょりますが、
基本的な流れは本家と同じです。


ではスタート!







王子は優れた軍人であり、格闘家としても希有な才能の持ち主だと有名である。
外見もハンサムで、女性格闘家たちにとっては憧れの的であった。

むろん、シンデレラの道場でも話題になる。

継母「権力などに興味はないが……」

継母「あの王子を仕留めれば、我が道場の名も上がるッッッ!」

継母「キサマら、王子に勝ってみせいッッッ!」

長女「えぇ、王子と戦える機会なんて一生に一度あるかないか……」

長女「楽しみですわ」

次女「へへっ、腕がなるねぇ」

次女「アタシの蹴りを王子にたっぷりブチ込んでやるよ」

シンデレラ「…………」

 

 


54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 21:45:57.42ID:FDH9ZeWQ0
継母「なんだシンデレラ、その目は」

シンデレラ「あ、あの……私も……」

継母「ならんッッッ!」

継母「道場でワシらを殴れぬキサマが、どうして王子を倒せる!?」

継母「手も足も出さぬまま、王子に殺されるだけだ……!」

継母「どうしても出たいというのなら、ワシらに一撃ずつ浴びせてみせいッッッ!」

長女「そうよ、シンデレラ」

次女「王子の前に、まずアタシらをぶっ飛ばしてみな」

シンデレラ「…………!」

シンデレラ「で、できませんっ……!」

 

 


55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 21:50:33.21ID:FDH9ZeWQ0
シンデレラは走り去ってしまった。

継母「チィ……ッッ!」ギリッ

長女「やっぱり、ダメなようね」

次女「やれやれ、アイツがその気になれば、アタシらにだって勝てるのに……」

次女「あり余る格闘技の才能がありながら、人を殴れない、か」

次女「神様ってのは残酷なことをするもんだよ……」

長女「お母様、シンデレラはやはり武道会には……?」

継母「愚問ッッッ! 人も殴れぬようなヤツを試合に出すワケにはいかんッッッ!」

 

 


56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 21:53:21.72ID:FDH9ZeWQ0
結局、シンデレラは継母たちを殴ることができぬまま、一週間が経った。

継母「今日はいよいよ、城で武道会だ」

継母「長女、次女はワシとともに来い。ワシの前で、みごと王子を倒してみせい」

継母「シンデレラ、キサマは留守番だ。よいな」

継母「なぜ留守番になったか、原因はキサマがイチバンよく分かってるはずだ」

シンデレラ「はい……」

長女「じゃあ、行ってくるわね。シンデレラ……」

次女「まぁ、また王子とやれるチャンスはあるって」

 

 


57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 21:56:24.26ID:FDH9ZeWQ0
シンデレラ「ていっ! えいっ! ──とりゃあっ!」

ビュッ! ビュンッ! ビュバッ!

留守番を兼ねて、道場で鍛錬を行うシンデレラ。しかし、今一つ集中できずにいた。

シンデレラ(なんだろう、このイヤな感じ……)

シンデレラ(やはり王子と戦うチャンスを逃したから……?)

シンデレラ(いいえ、ちがう……)

シンデレラ(これは──)

 

 


 


61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 21:59:21.78ID:FDH9ZeWQ0
城──

大勢の女性格闘家が、王子に次々と挑んでは倒されていた。

女格闘家A「ギャアアアアッ!」

王子「やれやれ、こんなものかい? ──次っ!」

すでに100人以上が挑戦したが、王子は傷一つ、どころか息切れ一つしていない。

次女「強えぇっ……!」

長女「王子の実力を甘く見ていたかもしれないわね、私たち」

 

 

 

 

王子「さて、次はだれだい?」

長女「私です」

王子「オ~、君はたしか“レイニーフィスト”だったね。なんでも連打が得意だとか」

長女「城にまで名前が知れ渡っているとは、光栄ですわ」

 

 


67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 22:10:12.71ID:FDH9ZeWQ0
シンデレラ(この不安感は──)

シンデレラ(お姉様たちが危ないっ!)

シンデレラ(私は王子を一度だけ遠くから見たことがあるけど)

シンデレラ(優しそうなお顔の中に、凶悪な闘争心を秘めていた……)

シンデレラ(もし、お姉様たちがアレを引き出してしまったら──)

 

 



69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 22:15:07.44ID:FDH9ZeWQ0
シンデレラ(でも、行ってどうするというの!?)

シンデレラ(人を殴れない私が、助勢できるわけがない)

シンデレラ(仮にできたとしても、私なんかに助けられてあの二人が喜ぶと思う!?)

シンデレラ(だけど……行かなきゃいけない!)

シンデレラ(そんな気がする!)

すると──

 

 


72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 22:21:33.54ID:FDH9ZeWQ0
魔女「おやおや、お困りのようだねぇ」ザッ

シンデレラ「あなたは……!?」

魔女「私は魔女、なにかお悩みのようだからやって来たのさ」

魔女「私は悩んでる人間を嗅ぎつけるのがウマイんでね、ひっひっひ」

シンデレラ(魔女……!?)

魔女「あんた、城の武道会に行きたいんだろ?」

魔女「かといって、城にいる仲間に正体がバレるわけにもいかない」

魔女「さぁ、困った。どうしよう~ってとこかねぇ?」

シンデレラ「な、なぜそれを……!」

魔女「ひっひっひ、協力してやるよ」

 

 


75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 22:26:30.05ID:FDH9ZeWQ0
武道会では、長女が得意の猛連打で王子を圧倒していた。

ガッ! ドガッ! ガスッ! ベシッ! ドゴッ!

次女「いいぞ、姉様ぁっ!」

長女(イケる! このラッシュから逃れられた対戦相手はいない!)

だが──

王子「ン~……なかなかのラッシュだ。口の中を切ってしまった」ペッ

長女「!?」

長女(あれだけの拳を受けて、ほとんどダメージがない!?)

王子「そろそろ反撃しよっかな」

パシッ!

 

 


76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 22:29:28.46ID:FDH9ZeWQ0
長女(しまった、右手を取られた……!)

ボグッ!

長女「あぐぅぅぅっ……!」

次女「姉様っ!」

王子「これで君の戦力は激減したね」

王子「君の実力に免じて、ギブアップするチャンスをあげちゃおう」

グシャアッ!

王子「ぶっ……!」

長女はあえて折れた右腕でのパンチを、王子の顔面に叩き込んだ。

長女「腕一本……奪ったくらいで……いい気にならないで下さる?」ハァハァ

王子「いい目だァ……」ニコッ

 

 


77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 22:36:22.19ID:FDH9ZeWQ0
魔女「ほれっ」パァァ…

パサッ

シンデレラ「これは虎の覆面!?」

魔女「ひっひっひ、それを被ればあんたの正体はバレないよ」

魔女「さらに……」パァァ……

シンデレラ「私の服が、キレイなドレスになったわ!」

魔女「あとは、ほれっ」パァァ…

シンデレラ「超強化ガラスで作った靴!?」

魔女「さて、あとは──」

 

 


 


82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 22:40:21.70ID:FDH9ZeWQ0
ボワァァァン…

シンデレラ「カボチャの馬車!?」

魔女「ひっひっひ、すごいだろう」

魔女「ただし魔法の効力は、今晩0時までだよ」

シンデレラ「ありがとう……でも、馬車はいらないわ」

魔女「えっ?」

シンデレラ「だって私、走った方が速いものっ!」

ドヒュンッ!

魔女「ワ~オ……クレイジー」

 

 



84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 22:44:22.17ID:FDH9ZeWQ0
城では、長女が逆に王子のラッシュの餌食になっていた。

次女「ね、姉様……ッッ!」

ズギャッ! ベギャッ! ボゴォッ! ズドンッ! グシャァッ!

王子「ハハハハハハハハハハッ!」

長女「が……ふっ……」グラッ

王子「おっと、まだ倒れないでくれよ」ガシッ

次女「──ふざけんなぁっ!」バッ

客席から飛び出した次女が、王子の後頭部に蹴りを入れた。

ガゴンッ!


85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 22:51:33.44ID:FDH9ZeWQ0
次女「もう勝負はついてるだろうがっ! このクソ王子っ!」

王子「ン~……今のはいい蹴りだったよ。さては君が“キラーフット”か」

次女「そうだよ、選手交代だっ!」

王子「実力は認めるが、神聖な試合に乱入するのは感心しないな」

次女「なにが神聖な試合だっ! この腐れサド野郎がッッッ!」

キャアアアアア…… イヤアアアアア……

王子「おやおや」チラッ

王子「ボクの強さに恐れをなして、他の挑戦者は逃げてしまったようだ」

王子「いいだろう。恥知らずな乱入者である君を処刑し、この武道会はお開きとしよう」

次女「やってみな……!」

 

 


86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 22:54:46.62ID:FDH9ZeWQ0
馬よりも速く、城めがけて走るシンデレラ。

すると、城から逃げ出してきた大量の女格闘家たちに出くわした。

シンデレラ(城で何かあったのかしら……?)

「冗談じゃないわ」 「強すぎるわよ」 「あの姉妹……今頃殺されてるよね、絶対」

「100人以上は再起不能にされたわ」 「やってられないよ」 「あの王子ヤバすぎ」

シンデレラ(やはり、王子はとんでもない男だったんだわ……)

シンデレラ(急がないと……お姉様たちが殺される……!)

 

 


87:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 22:57:35.90ID:FDH9ZeWQ0
仰向けにダウンする次女。

次女「げほっ、ごほっ……!」

次女(ちくしょう、相手にもならなかった……)

王子「君もいい腕をしていたよ」

王子「しかし、やはりボクを満足させるには至らなかった」

次女「アタシは……アンタより強い女を知ってるよ」

王子「へぇ、そんな人がどこにいるんだい?」

継母(ここだッッッ!)ギロッ

王子(あの客席でボクを睨んでるヤツは……女じゃないよな、どう見ても)

次女「ここにはいないよ……」

王子「フッ、つまらんハッタリはよしたまえ」

 

 


88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 22:59:38.82ID:FDH9ZeWQ0
次女「ア、アイツは……だれより、も才能が、あって……」

次女「どりょ、くしてる……」

次女「アイツの名、は……シ、シン──」ガクッ

王子「ふん、気絶したか。最後までハッタリをかまそうとした精神力はみごとだ」

王子「せめてもの手向けとして、君たち姉妹はボクの手であの世に送ってあげよう」

王子「格闘家にとって、これほど名誉ある死もあるまい!」

「待ちなさいっ!」

王子「ぬっ!?」

 

 


92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 23:08:33.70ID:FDH9ZeWQ0
?「私が相手よ、王子っ!」

王子(美しいドレスを着て、ガラスの靴を履いて、虎の覆面を被った変態!?)

王子「名乗ってもらおうか、侵入者君」

?「私は……タイガーマスク!

王子「タイガーマスク……?」

タイガーマスク「王子、勝負よっ!」

王子「ちょうど退屈してたところだ。いいだろう」ニコッ

継母(あれは……何者だ!?)

継母(体格と声と気配はシンデレラそっくりだが──顔がちがう)

継母(シンデレラの顔は虎ではなかったハズッッッ!)

 

 



96:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 23:12:56.16ID:FDH9ZeWQ0
タイガーマスクは倒れている長女と次女を、武道場の外に運んだ。

タイガーマスク(こんなになるまで痛めつけて……王子……絶対許さない!)

タイガーマスク(お姉様たち、仇は取るわ)

シンデレラ「私が……王子を倒すッッッ!」

振り返り、王子を睨みつけるタイガーマスク。

王子(ん、今一瞬覆面の下の素顔が見えたかと思ったが……気のせいか)

継母(一瞬虎がシンデレラに見えたが……やはり虎だったッッッ!)

 

100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 23:14:36.10ID:FDH9ZeWQ0
タイガーマスク「さぁ、始めましょう」

王子「ふっ……いつでもいいよ。格上は格下に先手を譲るものだ」

バッ!

王子(消えた!?)

ガゴォッ!

タイガーマスクの右ストレートが、王子の顔面を撃ち抜いた。

王子「お、おごぉ……!?」ガクン

継母(長女の連打や次女の足技でもビクともしなかった王子が、膝をついた!)

継母(あの虎人間……何者ッッッ!?)

タイガーマスク「立ちなさい」

タイガーマスク「私、あなたのような外道なら、全力で殴れるッッッ!」


 

 

 


113:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 23:49:21.64ID:FDH9ZeWQ0
時計の針が、まもなく0時を指そうとしていた。

タイガーマスク(マズイ……)

タイガーマスク(ここで魔法が解けてしまったら、私の正体がバレてしまう!)

タイガーマスク(お姉様二人に、私に助けられたという恥辱を味わわせてしまう!)

王子「さぁ、続きを始めよう。君から来るかい? それともボクから行こうか……?」

タイガーマスク「…………」

タイガーマスク「残念だけど、時間よ」

タイガーマスク「勝負はお預けにさせてもらうわ」

王子「なにっ!?」

タイガーマスクは王子に背を向けると、一目散に駆け出した。

 

 

 


115:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 23:52:07.51ID:FDH9ZeWQ0
王子「ここまでボクをワクワクさせておきながら、逃げる……?」ビキビキッ

王子「君ほどの遊び相手……みすみす逃がすかよッッッ!」ダッ

タイガーマスクは履いていた靴を、高速で王子に投げつけた。

ガゴッ!

王子「うがっ!」

その隙に、タイガーマスクは城からの脱出に成功した。

王子「…………」

王子「……ふっ」

王子「フハハハハハハハハハハッ!」

 

 


116:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 23:54:32.65ID:FDH9ZeWQ0
王子「ハハハハハハハハハハッ!」

王子「ハーッハッハッハッハッハッハッハッ!」

 

ハーッハッハッハッハッハ……

 

次女「狂ったように笑ってるよ、あの王子……」

長女「今のうちに私たちも逃げましょう」

次女「そうだね!」

継母(それにしても、あの虎人間……何者だったのだ!?)

 

 


119:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/29(日) 23:59:33.02ID:FDH9ZeWQ0
それから──

先に道場に戻っていたシンデレラは、後から戻って来た長女と次女の手当てをした。

長女「当分私たちは稽古は無理ね……全治二週間ってとこかしら」

次女「いてて……」

シンデレラ「大丈夫?」

長女「ありがとう、シンデレラ。これくらいどうってことないわ」

長女「でも、あの虎覆面の女性が来なければ、殺されていたかもしれないわね」

次女「ああ、アイツには感謝しないとね」

次女「でも、いったい誰だったんだろう……アレ」

シンデレラ「…………」

 

 


122:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/30(月) 00:05:42.67ID:3KRPI85x0
シンデレラ(王子との戦いはキツかった……)

シンデレラ(でも、不謹慎ながら楽しさも感じていた……)

シンデレラ(お姉様たちのためにも、決着をつけたかったけれど……)

シンデレラ(あの限られた時間で、しかも乱入した身で、それは贅沢というものよね)

シンデレラ(さて、明日からはいつも通りの生活に戻らなくっちゃね)

 

 


123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/30(月) 00:08:58.43ID:3KRPI85x0
翌日──

王子が兵士を率いて、町にやって来た。

王子「これからこの町にいる全ての女に、このガラスの靴を履いてもらう!」

王子「もしこの靴にピッタリの足の女がいたら──」

王子「ボクと戦ってもらうッッッ!」

王子「もし隠し立てなどしたら、その家は全て焼き払うッッッ!」

町の女性はみんな恐る恐るガラスの靴を履いた。

万が一にも自分の足がピッタリであったら、王子と戦うはめになるからだ。

 

 


125:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/30(月) 00:13:10.81ID:3KRPI85x0
しかし、ガラスの靴と合致する足の持ち主は、いつまでたっても現れなかった。

王子(この町の女性ではないのか……?)

王子(くそう、早く見つけ出して戦いたい……!)

兵士「王子、残るはあの道場だけです!」

王子(あそこの女二人とはすでに戦っている……)

王子(“レイニーフィスト”と“キラーフット”が虎覆面ではないことは確実)

王子(無駄足だと思うが、一応行ってみるか)

王子「よし、向かうぞ」

兵士「はっ!」

 

 


126:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/30(月) 00:14:59.74ID:3KRPI85x0
王子「たのもうっ!」

継母「王子か……何用だ?」

王子「今ボクらは、このガラスの靴がピッタリ合う足を持つ女性を探している」

王子「君たちはちがうと思うが、念のためテストさせてもらおう」

継母「ふん、よかろう」

継母「長女ッッッ! 次女ッッッ! シンデレラッッッ!」

継母「来いッッッ!」

王子(シンデレラ……? 知らない名前だな)

 

 


131:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/30(月) 00:23:56.20ID:3KRPI85x0
長女「はい、お母様」

次女「なにさ」

シンデレラ「!」

シンデレラ(どうして王子がここに……!?)

兵士「今からお前たちにはこの靴を履いてもらう」

兵士「もしサイズがピッタリ合ったなら、王子と戦ってもらう」

長女(アレは昨日の虎覆面の靴ね……。なるほど、彼女を探しているのね)

次女(アタシらが虎覆面じゃないってのは分かり切ってるのに、めんどくさいなぁ)

シンデレラ(どうしよう……正体がバレちゃう……!)

 

 


133:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/30(月) 00:27:20.92ID:3KRPI85x0
長女が履く。

長女「私には少し小さいようですわ」ギュッ

次女が履く。

次女「アタシにも合わないね」ギュッ

継母が履こうとする。

兵士「いや、あなたは履かなくても分か──」

ドゴォッ!

兵士「ごぶっ!」

継母が履く。

継母「たわけが、小さすぎるわッッッ!」ギュウウ…

王子「さて残りは君だけか」

シンデレラ(うぅっ……!)

 

 


138:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/30(月) 00:34:17.91ID:3KRPI85x0
シンデレラ(どうしよう……これを履けば、私がタイガーマスクだとバレてしまう!)

シンデレラ(そうなったらお姉様たちに、恥をかかせてしまう!)

シンデレラ「私、履きたくありません!」

王子「ほう、なぜだい?」

シンデレラ「そ、それは……」

次女「王子さん、コイツはあの覆面じゃないよ」

次女「だって……コイツは人を殴れないんだからさ」

次女「見逃してやってよ」

 

 


141:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/30(月) 00:38:25.49ID:3KRPI85x0
王子「ダメだ」

次女「!」

王子「ボクが履けといったら、黙って履けばいいんだ」

王子「それとも、また昨日の続きをするかい?」

次女「上等だよ……! このクソ腐れサド外道王子が……!」

長女「私も戦うわ、次女」

次女「姉様!」

長女「嫌がっている妹に靴を履かせようとする不埒な輩……戦うしかないでしょう」

王子「二対一でもかまわないよ、ボクは」

王子「この道場を君たち姉妹の墓場にしてあげるよ!」

 

 


142:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/30(月) 00:42:44.27ID:3KRPI85x0
シンデレラ「待って下さいっ!」

長女&次女「!」

シンデレラ「私……履きます」

王子「ふふふ、それでいいんだ」

シンデレラ(ごめんなさい、お姉様……)スッ

ガラスの靴は、シンデレラの足にぴったり合った。

長女「!」

次女「!」

継母「!」

王子「これは……」

 

 

 


145:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/30(月) 00:46:02.95ID:3KRPI85x0
長女「待って下さい、これはなにかのまちがいです!」

次女「シンデレラ、逃げな! 王子はアタシらでなんとかする!」

王子「どきたまえ」

バキッ! ドガッ!

長女「ぐぁっ!」

次女「うわぁっ!」

 

王子「ごあっ!」ドサッ

シンデレラの右ストレートが炸裂した。

シンデレラ「やりましょうか、王子様」ニッコリ

 

 


 

 


149:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/30(月) 00:50:46.64ID:3KRPI85x0
今の一撃で、長女たちは全てを悟った。

長女(すごいパンチだわ……なるほど、昨日の虎覆面は──)

次女(そうだったのか、昨日はアイツは──)

継母(ようやく分かったッッッ! 昨日の虎は──)

長女(シンデレラだったのね……)

次女(シンデレラだったんだな)

継母(シンデレラの双子の姉か妹だったということかッッッ!)

継母以外の二人は真実にたどり着いた。

 

 


 

 

 

 

 


156:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/30(月) 00:56:25.28ID:3KRPI85x0
次女(ふん、アタシらに遠慮してて、名乗れなかったんだな……ったく)

次女「シンデレラ、思いきりやっちまいな! クソ王子をぶっ飛ばせ!」

長女「えぇ、全力で叩きのめすのよ!」

継母「命令だ……葬れッッッ! 王子を地獄に叩き落とすのだッッッ!」

シンデレラ(みんな……応援、ありがとう!)

シンデレラ「早く立って下さい。みっともないですよ、王子」

王子「いい一撃だったァ~~~~~」ガバッ

王子「昨夜の興奮がよみがえってきたよ」

 

 

162:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/30(月) 01:08:58.12ID:3KRPI85x0
ズガッ! ドガガッ! バギャッ! ベキィッ! ズドンッ!

凄まじい打撃戦。

一流の武術家といえる長女や次女でも、もはや目で追えないレベルだった。

長女(全て分かったわ……シンデレラが人を殴れなかったワケが)

長女(シンデレラは本能的に分かっていたのね……)

長女(私たち姉妹を殴れば、殺してしまうかもしれないと……)

長女(お母様と戦えば、道場を壊してしまう事態になりかねないと……)

長女(だからずっと、王子のような気兼ねなく戦える猛者をずっと待っていたんだわ……)

 


シンデレラ「トドメよッッッ!」

シンデレラは飛び上がり、王子の顔面に猛烈な蹴りを浴びせた。

ドガッシャァァァンッ!

王子「べぶぁっ……!」

衝撃で靴は砕け散り、王子の顔面にガラスの破片が突き刺さった。

王子「ビュ、ビューティフォー……」

王子は一瞬ニヤリと笑うと、背中から勢いよくダウンした。

──ドザァッ!

継母「一本ッッッ!」

継母「勝者、シンデレラッッッッッ!!!」

 

王子「ボクの負けだよ……シンデレラ」

王子「ボクと結婚してくれるね?」

シンデレラ「いいえ」

王子「えっ?」

シンデレラ「お姉様たちを始め、大勢の女性を傷つけたあなたとなんか……」

シンデレラ「私、結婚したくありません」

シンデレラ「私はこの道場に残り、もっと技を磨きますわ」

王子「そ、そんな……じゃあボクはどうすれば……」

 

シンデレラ「王子、あなたには少し精神の修練が必要なようです」

シンデレラ「このまま王子として結婚させたら、また何をしでかすか分からないわ」

王子「あ、ありがとうございますぅ!」

王子「ボクが傷つけた女性たちには最高の名医を送って、責任を持って完治させますっ!」

シンデレラ「いい心がけだわ。でも、ちゃんと一人一人に謝罪もするのよ」

王子「もちろんですっ!」

シンデレラ「どうでしょう、お母様? 王子を私たちの道場に入門させては──」

継母「なるほど、それも一興よ」

 

 


191:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/30(月) 01:56:28.33ID:3KRPI85x0
こうして王子は、道場の門下生──というかパシリになった。

 


196:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/30(月) 02:00:30.61ID:3KRPI85x0
数年後、王子はその強さと地位に相応しい高潔な精神を手に入れていた。

そして──

カラァァン…… コロォォン……

教会に大勢の人が集まっていた。

長女「おめでとう! キレイよ、シンデレラ……!」

次女「王子もずいぶんかっこよくなったよね。お似合いだよ」

継母「くぅぅ……ッッ! 未熟者どもが……ッッッ!」グスッ

長女&次女(泣いてるところ、初めて見た……!)

 

 

 

 

198:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/30(月) 02:01:59.42ID:3KRPI85x0
王子「みんな、ボクらのために集まってくれてありがとう!」

王子「シンデレラ、今日の君はなんだか女神のようだ」

シンデレラ「ありがとう、王子」

シンデレラ「お姉様、お母様、みんな、ありがとう! 私、これからも頑張ります!」

国中がシンデレラと王子の結婚を祝福した。

その後、この二人が幸せに暮らしたことはいうまでもない。

 

<おわり>



シンデレラの話って怖いものしか記憶にないんで、
一昔前の少年漫画風なシンデレラがすごく新鮮に感じられました。
 

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